六十二万石の城下町・名古屋では、七代尾張藩主・徳川宗春のもとで「茶の湯」が広められ、文化・文政期になって大流行します。やがて下級武士や庶民層にまで浸透し、幕末のころには日常の団らんの場でも抹茶が盛んに飲まれるようになりました。
そんな茶どころ名古屋において、当店は日本一の茶舗を目指し、専門店としてのれんを掲げてきました。創業以来、家訓のようにして守ってきたのは、「良いお茶は心を潤す」の意が込められた「茗茶潤心(めいちゃじゅんしん)」の四文字です。
「茶の湯」の教えにもあるように「お茶」は「心」。一杯のお茶の中には淹れた人の人柄が溶け込み、日常生活に欠かせない真心を伝えます。当店が「お茶の香りと、味と、色で真心を伝えていくこと」を使命としてとらえ、「お客様に喜んでいただくためには何をしたらよいか」を常に発想の原点にしてきたのも、すべて「茗茶潤心」に由来しています。